○秩父消防本部火災調査規程

令和2年12月11日

消防本部訓令第1号

目次

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 調査業務体制

第1節 調査の原則(第3条―第8条)

第2節 調査態勢(第9条―第11条)

第3章 調査業務処理の基本

第1節 調査実施上の通則(第12条―第15条)

第2節 基本事項の処理(第16条―第26条)

第4章 調査業務の執行

第1節 火災出場時の調査(第27条・第28条)

第2節 鎮火後の調査(第29条―第35条)

第3節 立証のための調査(第36条―第41条)

第5章 調査結果の記録等

第1節 調査書類の作成(第42条―第46条)

第2節 照会等の対応(第47条―第49条)

第3節 立入検査証(第50条)

第6章 震災時の火災調査

第1節 震災時の火災調査体制(第51条―第56条)

第2節 調査結果の報告及び活用(第57条―第59条)

第7章 補則(第60条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)の執行について必要な事項を定めるものとする。

(用語の定義)

第2条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。

(1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。

(2) 爆発現象 化学的変化による燃焼の一つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱を発生し、爆鳴、火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。

(3) 調査 火災現場から火災予防を主とする消防行政施策の資料を収集し、活用するための質問、現場見分、鑑識、鑑定、実験、照会等の一連の行動をいう。

(4) 鑑識 火災の原因及び損害の判定のため、専門的な知識、技術、経験及び機器を活用し、総合的な見地から具体的な事実関係を明らかにすることをいう。

(5) 鑑定 火災にかかわる物件の形状、構造、材質、成分、性質及びこれに関連する現象について、科学技術的手法により、必要な試験及び実験を行い、その結果をもとに火災原因の判定のための資料を得ることをいう。

(6) 調査員 調査に従事する消防職員をいう。

(7) 関係者等 法第2条第4項に定める関係者並びに火災の発見者、通報者、初期消火者及びその他調査の参考となる情報を提供しうる者をいう。

(8) 建物 土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、観覧のための工作物、店舗又は倉庫その他これらに類する施設をいう。

(9) 建物の収容物 柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物のほか、バルコニー、ベランダ等に置かれた物をいう。

(10) 車両 原動機を用いて陸上を移動することを目的として製作された用具であって自動車、汽車、電車及び原動機付自転車をいう。

(11) 被けん引車 車両によってけん引される目的で造られた車及び車両によってけん引されているリヤカーその他の軽車両をいう。

(12) 船舶 独行機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに独行機能を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう。

(13) 航空機 航空法(昭和27年法律第231号)第2条第1項に定めるものをいう。

(14) 森林 森林法(昭和26年法律第249号)第2条第1項に定めるものをいう。

(15) 原野 自然に雑草、かん木類が生育している土地で人が利用しないものをいう。

(16) 牧野 主として家畜の放牧又は家畜の飼料若しくは敷料の採取の目的に供される土地(耕地の目的に供される土地を除く。)をいう。

(17) 用途 建物、車両、船舶、航空機等が占有され、又は使用されている目的をいう。

(18) 業態 原則として、事業所において業として行われている事業の態様をいい、教育、宗教、公務、非営利団体等の諸活動を含むものとする。

(19) 製造物 製造物責任法(平成6年法律第85号。以下「責任法」という。)第2条第1項に定める製造又は加工された動産をいう。

(20) 欠陥 責任法第2条第2項に定める欠陥をいう。

(21) 資料等 火災の原因である疑いがあると認められる製品の同型品、設計図等の図面、燃料を要する製品の燃料その他消防長が調査のために必要と認めるものをいう。

(22) 物件等 焼損した物件、発火源となったと思われる設備器具、使用した燃料その他出火原因の判定に必要なものをいう。

第2章 調査業務体制

第1節 調査の原則

(調査の基本)

第3条 調査は、物的証拠を主体とし、関係者等の供述に基づいて検討を加え、科学的方法による合理的な事実の解明を図らなければならない。

(調査の区分及び範囲)

第4条 調査の区分は火災原因調査及び火災損害調査とし、その範囲は次に掲げるとおりとする。

(1) 火災原因調査

 出火原因 火災の発生経過及び出火箇所

 発見、通報及び初期消火状況 発見の動機、通報及び初期消火の一連の行動経過

 延焼状況 建物火災の延焼経路、延焼拡大要因等

 避難状況 避難経路、避難上の支障要因等

 消防用設備及び特殊消防用設備等の状況 消火設備、警報設備及び避難設備の使用、作動等の状況

(2) 火災損害調査

 人的被害の状況 火災による死傷者、り災世帯、り災人員等の人的な被害の状況及びその発生状況

 物的損害の状況 火災による焼け、消火、爆発等による物的な損害の状況

 損害額の評価等 火災により受けた物的な損害の評価、火災保険等の状況

(調査責任)

第5条 消防署課長及び分署長(以下「課長等」という。)は、秩父消防本部警防規程(平成25年秩父消防本部訓令第1号)第20条に規定する警防区域内の調査責任を有する。

2 運行中の車両及び航行中の船舶の火災は、主として消火活動を行った場所を管轄する課長等が、航空機の火災は、消防署長が調査を行うものとする。

3 消防署長及び課長等は、火災の覚知とともに調査を開始しなければならない。

(調査結果の管理)

第6条 課長等は、調査のために立ち入って見分し、又は質問により得られた情報並びに調査結果から作成された文書等の適切な管理に努めなければならない。

(調査結果の活用等)

第7条 予防課長は、調査結果を分析及び検討して、火災の実態を明らかにするとともに消防行政に反映できる資料を整備し、活用できるように努めなければならない。

(類似火災への対応)

第8条 予防課長は、調査結果から製造物の欠陥による類似火災の発生が予測されるなど必要と認めるときは、当該火災に係る資料の収集に努め、類似火災の防止に係る対応を図るものとする。

第2節 調査態勢

(調査態勢の確立)

第9条 消防長は、常に人員及び機材を整備し、調査態勢の万全を図るとともに、調査員に対して調査に関わる知識及び技術を教養し、調査技術の向上に努めなければならない。

(指導及び支援)

第10条 予防課長は、調査員が行う調査に関する業務(以下「調査業務」という。)について、指導を行うものとする。

2 予防課長は、調査に関する研究を行うとともに、機材の整備を図り、火災原因究明の技術を向上するよう努めるものとする。

3 課長等は、調査業務の技術協力を必要と認めたときは、予防課長に対して支援を要請することができる。

(鑑定依頼)

第11条 課長等は、焼損物件等に関わる鑑定を必要と認めるときは、予防課長と協議のうえ鑑定依頼書(様式第1号)により、消防研究センター等に鑑定を依頼することができる。

第3章 調査業務処理の基本

第1節 調査実施上の通則

(調査員の責務)

第12条 調査員は、調査上必要な知識の修得に努め、調査技術の向上に努めなければならない。

2 調査員は、調査の経過その他参考となるべき事項を記録しておかなければならない。

(立入りの原則)

第13条 調査員の調査現場その他関係ある場所への立入りは、関係者等の立会いを得ることを原則とする。

(質問)

第14条 調査員は、関係者等に対して調査上必要な事項を質問し、火災状況の把握に努めなければならない。

2 前項の質問は、別に定めるところにより行うものとする。

(少年等に対する質問等)

第15条 少年(18歳未満の者をいう。以下同じ。)並びに身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に定める身体障害者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条に定める精神障害者(以下「少年等」という。)の関係する火災で、前条に定める質問を行う場合は、立会人をおいて行うものとする。ただし、立会人をおくことで、真実の供述を得られないと判断されるときは、この限りでない。

2 前項の質問を行うにあたっては、少年等の心情を考慮し、十分な理解をもってあたらなくてはならない。

3 少年等は現場見分の立会人としてはならない。ただし、年齢、心情及びその他諸般の事情により支障がないと認められるときは、この限りでない。

第2節 基本事項の処理

(火災件数の扱い)

第16条 1件の火災とは、一つの出発点から拡大したもので、出火から鎮火するまでをいう。

2 秩父消防本部管内(以下「管内」という。)において発生した火災は、全て火災件数として取り扱い、当該取扱いの基準は別に定めるものとする。

(火災損害の区分)

第17条 火災の損害は次の各号に掲げる3種に区分し、その内容は当該各号に定めるとおりとする。

(1) 焼け損害 火災によって焼けた物、熱によって炭化、溶融又は破損した物等の損害をいう。

(2) 爆発損害 爆発現象により受けた破損等の損害をいう。

(3) その他の損害 消火のために受けた水損、破損、汚損等の損害並びに煙及び物品の搬出による損害をいう。

(火災の種別)

第18条 火災の種別は次の各号に掲げる6種に区分し、その内容は当該各号に定めるもののほか、別に定めるところによる。

(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災をいう。

(2) 車両火災 車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。

(3) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。

(4) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。

(5) 林野火災 森林、原野又は牧野、樹木、雑草、飼料、敷料等が焼損した火災をいう。

(6) その他の火災 前各号以外の物が焼損した火災をいう。

2 前各号の火災が複合する場合の火災の種別は、焼け損害額の大なるものによる。ただし、その態様により焼け損害額の大なるものの種別によることが社会通念上適当でないと認められるときは、この限りでない。

3 前項の焼け損害額が同額又は算出されないときは、火元の火災の種別による。

4 爆発損害のみの火災の種別は、前3項に準ずるものとする。

(焼損の程度)

第19条 建物の焼損程度は、1棟ごとに次の各号に掲げる4種に区分し、その内容は当該各号に定めるもののほか、別に定めるところによる。

(1) 全焼 建物の70パーセント以上を焼損したもの又はこれ未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないものをいう。

(2) 半焼 建物の20パーセント以上70パーセント未満を焼損したものをいう。

(3) 部分焼 全焼、半焼及びぼやに該当しないものをいう。

(4) ぼや 建物の10パーセント未満を焼損したもので、かつ、焼損床面積若しくは焼損表面積が1平方メートル未満のもの又は収容物のみを焼損したものをいう。

2 車両、船舶及び航空機の焼損程度は、前各号に準ずるものとする。

(火災の程度)

第20条 火災の程度は、1件の火災のうち決定した火災の種別の焼損程度の大なるものにより全焼火災、半焼火災、部分焼火災及びぼや火災のいずれかに区分する。

2 爆発損害のみの火災は、全てぼや火災とする。

(焼損床面積等の算出)

第21条 建物の焼損面積は、焼損床面積及び焼損表面積に区分して算定するものとする。

2 水損、破損及び汚損のときは、前項に準ずるものとする。

(出火日及び出火時分の決定)

第22条 出火日及び出火時分の決定は、関係者の火災発見状況、通報(覚知)時分及び消防対象物の構造、材質、状態並びに火気取扱い等の状況を総合的に検討し、合理的な時刻とする。なお、事後聞知の方法で覚知された火災の取扱いについては、別に定めるものとする。

(世帯のり災程度)

第23条 り災程度は、1世帯ごとに次の各号に掲げる3種に区分し、その内容は当該各号に定めるもののほか、別に定めるところによる。

(1) 全損 建物(その収容物を含む。以下この条において同じ。)の火災損害額(以下「損害額」という。)が、り災前の建物の評価額の70パーセント以上のものをいう。

(2) 半損 建物の損害額がり災前の建物の評価額の20パーセント以上70パーセント未満のものをいう。

(3) 小損 前2号に該当しないものをいう。

(損害額の算定基準)

第24条 損害額は、再建築費又は購入価格等を基本として、減価償却を行って時価額を評価し、別に定めるところにより算定するものとする。

(火災による死傷者)

第25条 火災による死傷者は、火災及び消火活動、避難行動その他の行動等により火災現場において火災に直接起因して死亡又は負傷した者をいい、別に定めるところにより、対応するものとする。

2 火災による負傷者が受傷後48時間以内に死亡したときは、火災による死者とする。

3 火災による負傷者のうち、48時間を超えて30日以内に死亡した者については、課長等が予防課に連絡するものとする。

4 負傷の程度は、重症、中等症及び軽症の3種とする。

(出火原因分類等)

第26条 出火原因分類、用途別分類、業態別分類等は、火災報告取扱要領(平成6年4月26日付け消防災第100号)に定める分類を準用する。

第4章 調査業務の執行

第1節 火災出場時の調査

(火災出場時の見分状況把握)

第27条 火災に出場した職員は、消防活動を通じて火災の状況の見分に努めなければならない。

2 調査員は、火災出場途上及び現場において関係者等への質問及び現場の状況から発見、通報、初期消火、火気管理、避難、死傷者、消防対象物のり災状況並びに消防用設備等の使用、作動状況等を把握し、事後の調査に活用させるよう配意しなければならない。

3 前項における現場質問は、迅速的確に行うものとする。

(現場の保存)

第28条 火災に出場した職員は、消防活動をするにあたって、事後の調査の支障とならないよう別に定めるところにより、現場の保存に努めなければならない。

第2節 鎮火後の調査

(調査現場の指揮)

第29条 課長等は、調査の進行に万全を期するため調査の指揮者を定めなければならない。

2 調査の指揮者は、現場見分、写真撮影、図面作成等の各担当者を指定し、組織的に調査の進行を図るものとする。

3 調査の指揮者は、関係者等への質問を行うにあたっては、重複を避け効率的な調査を行わなければならない。

(現場立会人)

第30条 現場の調査は、関係者を現場立会人として実施しなければならない。ただし、特別な事情により関係者が不在でやむを得ないときは、警察官又は関係者の近親者その他適当な者を立会人とすることができる。

2 現場立会人は、見分しようとする場所又は物件に直接関係する者を優先しなければならない。

3 調査現場において調査のため必要があるときは、関係者の了解を得て、火災の原因である疑いがあると認められる製品の製造事業者又は輸入事業者(以下「製造事業者等」という。)を立会人とすることができる。

4 前3項により現場の立会いを求めたときは、安全管理、言動等に配意をしなければならない。

(火災原因調査)

第31条 調査の指揮者は、調査員に第4条第1号に定める火災原因調査を実施させるものとする。

2 前項の調査は、人的行動のほか、建築物、工作物及び建築設備並びに火気使用設備器具等の構造、機能、材質等に着目し、製造、施工及び保守管理の状況を調べるものとする。

3 調査のうち避難状況に関する事項は、特に出火時の状態と避難行動の関係に着目し、また、延焼状況の調査は、特に延焼の媒体となった構造、材質等に着目し、実施するものとする。

(現場の発掘)

第32条 出火原因の調査は、現場見分状況及び火災出場時の見分状況並びに関係者等の供述を総合的に判断して、出火範囲を限定し、現場の発掘(以下「発掘」という。)を行うものとする。

2 発掘は、出火範囲として限定した区域を周囲から出火箇所付近へ順次実施するものとする。

3 見分に伴う発掘に際しては、立会人の供述に基づく物品配置等に留意し、物件等の原状確保に配意しなければならない。

4 前項の発掘は、原状を復元する観点に立って行うものとする。

(出火原因等の検討及び物件の鑑識等)

第33条 前条に定める発掘の結果又は出火箇所が判定された段階において出火原因の検討を行うものとする。

2 前項の検討は、発掘された物件等の鑑識結果及び出火箇所付近の焼損状況並びに延焼経路を参考として行わなければならない。

(火災損害調査)

第34条 調査の指揮者は、調査員に第4条第2号に定める火災損害調査を実施させるとともに、必要と認めるときはり災した消防対象物の関係者に対し次に掲げるり災申告書により申告を求めるものとする。

(1) 建物火災(不動産)り災申告書(様式第2号)

(2) 建物火災(動産)り災申告書(様式第3号及び第3号の2)

(3) 建物火災以外(車両等・林野・その他火災)り災申告書(様式第4号)

2 前項のり災申告書を求めることができないとき、又は被害が軽微でその必要がないときは、火災損害状況調書(様式第5号)を作成しなければならない。

3 関係者からのり災申告書は、これを審査して受理するものとする。審査の結果、現場における消防対象物のり災状況調査の内容と当該り災申告内容が著しく異なるときは、質問等によりその矛盾を明らかにし、訂正を求めた後に受理するものとする。

4 関係者にり災証明を行う際には、火災損害調査の結果及び前項のり災申告書の内容に基づき行うものとする。

(調査終了時の措置)

第35条 調査の指揮者は、調査現場における調査を終了したときは、別に定めるところにより、関係者に終了した旨を通知するものとする。

第3節 立証のための調査

(立証のための調査)

第36条 課長等は、調査現場において焼損物件等の分解や見分が困難なときは、日時を改めて、火災原因等の究明に関する詳細な見分及び実験を必要とする調査(以下「立証のための調査」という。)を行うものとする。

2 課長等は、立証のための調査では見分の場所、日時等を明確にし、努めて調査の経験豊富な調査員を立ち会わせるものとする。

3 予防課長は、製造物からの火災に関連すると認められるときは、前2項による調査を予防課長が指定する調査員に行わせるものとする。

(法第32条に係る資料提出命令・報告徴収)

第37条 消防長は、立証のための調査に必要があると思われる場合は、製造事業者等に、その了解を得て必要な資料等の提出を求め、又は必要事項の報告を求めるものとする。この場合においては、必要に応じて資料提出・報告要請書(様式第6号)を交付するものとする。

2 消防長は、製造事業者等が前項の資料等の提出又は必要事項の報告の要求に応じないときは、当該火災の原因である疑いがあると認められる製品の情報について消防庁へ照会を行うものとする。この場合において、消防庁から原因の究明に必要な情報を得ることができたときは、これを課長等に提供するものとする。

3 消防長は、前項の規定によって必要な情報を得ることができないとき、又は得た情報が原因の究明に不十分であるときは、製造事業者等に対し、資料提出命令書(様式第7号)により資料等の提出を命じ、又は報告徴収書(様式第7号の2)により必要な事項の報告を求めるものとする。

4 消防長は、前項の規定により資料の提出を命じ、又は必要な事項の報告を求めたときは、製造事業者等に資料提出・報告書(様式第8号)を提出するよう求めるものとする。

5 消防長は、第3項の規定による命令により必要な資料等が提出されたときは、製造事業者等に対して資料保管書(様式第9号)を交付し、資料等の受渡しについて明確にするとともに、提出された資料等を、保管品台帳(様式第9号の2)に記載した上で保管しなければならない。

(法第34条に係る資料提出命令・報告徴収)

第38条 課長等は、現場において立証のための調査が必要と思われるときは、関係者にその了解を得て物件等の提出を求め、又は必要な事項の報告を求めるものとする。この場合において、物件等が提出されたときは、資料提出承諾書・受領書(様式第10号)を提出するよう求めるものとする。

2 消防長は、関係者が前項の物件等の提出又は必要事項の報告の要求に応じないときは、関係者に対し、資料提出命令書(様式第7号)により物件等の提出を命じ、又は報告徴収書(様式第7号の2)により必要な事項の報告を求めるものとする。

3 消防長は、前項の規定により資料の提出を命じ、又は必要な事項の報告を求めたときは、関係者に資料提出・報告書(様式第8号)を提出するよう求めるものとする。

4 消防長は、第2項の規定による命令により物件等が提出されたときは、関係者に対して資料保管書(様式第9号)を交付し、物件等の受渡しについて明確にするとともに、提出された物件等を、保管品台帳(様式第9号の2)に記載した上で保管しなければならない。

(資料、物件等の返還)

第39条 消防長は、立証のための調査が終了したときは、前2条の規定により提出された資料、物件等を返還しなければならない。この場合において、資料保管書を交付しているときには、これを提出させるものとする。

(鑑識実験)

第40条 課長等は、立証のための調査が必要なときは、鑑識実験を行うものとする。

(官公署への照会)

第41条 消防長は、官公署に対し調査に関する事項を照会するときは、火災調査関係事項照会書(様式第11号)により行うものとする。

第5章 調査結果の記録等

第1節 調査書類の作成

(調査書類の作成及び管理等)

第42条 課長等は、警防区域内で発生した火災について、この章の規定により火災調査に必要な書類(以下「調査書類」という。)を作成し、管理しなければならない。

(速報)

第43条 課長等は、火災調査速報(様式第12号)を速やかに作成し、消防長に速報するものとする。

(調査に必要な書類)

第44条 調査書類は、次のとおりとする。

(1) 火災調査書(様式第13号)

(2) 出火原因判定書(様式第14号)

(3) 火災出場時における見分調書(様式第15号)

(4) 現場(鑑識)見分調書(様式第16号)

(5) 関係者の供述に関する調書

 質問調書(様式第17号)

 現場質問調書(様式第18号)

(6) 火災原因の立証のために必要な資料

 調査員による実験結果報告書

 火災調査関係事項照会書に対する回答文書

 火災に関する照会依頼により収集した調査書類作成上必要な文書等

(7) 延焼状況等にかかわる調書

 出火建物・避難状況等調書(様式第19号)

 危険物施設等調書(様式第20号)

(8) 損害調査にかかわる調書

 建物・収容物損害調査書(様式第21号)

 建物以外の損害調査書(様式第22号)

 死傷者調査書(様式第23号及び第23号の2)

2 前項第2号から第7号までに掲げる調査書類で、記載事項が多いときは、様式第24号を使用することができる。

3 調査書類には、調査の内容を明らかにするため、必要な写真及び図面を作成し添付するものとする。

4 写真映像原本の保存は、フィルムは陰画保存はさみ(様式第25号)を用い、電磁的記録は、CD―R(光ディスク)等の電子記録媒体により保存するものとする。

5 調査書類の記載要領等については、別に定めるものとする。

(火災の程度及び種別による作成基準)

第45条 調査書類は、次に定める火災の程度及び種別に応じて作成するものとする。

(1) その他の火災のうち、次のいずれにも該当しないもの

 火災による死傷者が発生したもの

 損害額が1,000円以上計上されるもの

 製造物について、予防課長が鑑識を行う必要があると認めるもの

(2) 建物のぼや火災、林野火災、車両火災及びその他の火災(前号の火災を除く。)で、損害額が100,000円未満の火災並びに前号の火災のうち予防課長が必要と認めるもの

(3) 前2号に掲げる火災以外の火災及び予防課長が必要と認める火災

2 前項の書類作成は、別表第1の基準によるものとする。

(調査書類の報告)

第46条 課長等は、前条の規定により作成した調査書類を、火災覚知月の翌月の末日までに消防長に報告しなければならない。ただし、前条第1項第2号又は第3号の調査書類は、火災覚知月の5箇月後の月の末日とすることができる。

2 課長等は、鑑定その他相当の事由により、期限内処理が困難と予想されるときは、予防課長と協議するものとする。

第2節 照会等の対応

(照会等の対応)

第47条 消防長は、裁判所、捜査機関等から調査結果の内容について照会又は情報の開示請求(以下「照会等」という。)があったときは、職員に照会等報告書(様式第26号)を作成させるとともに、調査書類の抄本を送付し、又は内容について回答することができる。

(照会等対応の原則)

第48条 前条の照会等の対応は、個人情報及び犯罪に関する情報等の保護に留意し、総務課長及び予防課長と協議して別に定めるところにより対応するものとする。ただし、管内の警察署からの照会に関しては、口頭で回答できるものは協議を必要としない。

(証人、参考人としての出廷等)

第49条 職員は、自己の担当した調査に関して捜査機関から参考人として出頭を要請され、又は裁判所から証人等として呼出し若しくは召喚を受けたときは、消防長にその事案概要を報告しなければならない。

2 前項により出頭した結果についても同様とする。

第3節 立入検査証

(立入検査証の貸与及び管理)

第50条 秩父消防本部職員の立入検査証に関する規則(平成30年秩父広域市町村圏組合規則第4号。以下「証票規則」という。)に規定する証票(以下「立入検査証」という。)の貸与、管理等については、次によるものとする。

2 立入検査証は、調査員に貸与するものとする。

3 立入検査証の管理、取扱いについては、証票規則第4条の規定を準用し、亡失、汚損又は破損等に留意し、管理しなければならない。

第6章 震災時の火災調査

第1節 震災時の火災調査体制

(組織的な調査の執行)

第51条 消防長は、地震の発生により、秩父消防本部警防規程第30条に定める警防本部が設置されている間(以下「震災時」という。)に発生した火災の調査に対し、組織的な執行体制の確立に努めるものとする。

(情報の収集)

第52条 消防長は、地震の発生直後から災害状況の記録及び調査のための情報収集等に努めなければならない。

(震災に伴う火災の指定)

第53条 消防長は、調査を円滑に実施するために、震災時に発生した火災のうち、期間及び区域を限定した火災(以下「震災に伴う火災」という。)を指定するものとする。

(火災調査活動)

第54条 課長等は、震災に伴う火災の指定を受けた火災の調査については、り災証明発行のための損害状況調査を優先するとともに、出火原因、延焼拡大状況等の記録に重点を置いた震災時の火災調査活動を実施するものとする。

2 前項の震災時の火災調査活動要領については、別に定めるものとする。

(調査員の確保)

第55条 消防長は、震災後の行政対応を考慮し、震災に伴う火災による被害の記録のために必要な要員を確保するとともに、調査員に対して現場の見分、写真撮影等の記録を行わせるよう努めなければならない。

(必要な資器材の確保)

第56条 消防長は、震災時の火災調査活動に必要な資機材の確保に配意するものとする。

第2節 調査結果の報告及び活用

(震災に伴う火災調査書類の作成)

第57条 課長等は、震災に伴う火災においては、第44条に定める調査書類の作成について、別に定める基準により一部省略することができる。

(震災に伴う火災調査書類の報告)

第58条 課長等は、前条の規定により作成した調査書類のうち、火災調査書(様式第13号)については、火災覚知月翌月の末日までに、その他の書類については、6箇月後の月の末日までに消防長に報告しなければならない。

(り災証明事務の対応要領)

第59条 課長等は、震災時における火災調査の結果に基づき、警防区域の市町と連携して、迅速なり災証明事務の対応に努めるものとする。

第7章 補則

(その他)

第60条 この訓令に定めるもののほか、火災調査について必要な事項は、消防長が別に定める。

1 この訓令は令和3年1月1日から施行する。

2 この訓令の施行の際に、改正前の秩父消防本部火災調査規程により処理した手続等は、この訓令により処理したものとみなす。

(令和4年消防本部訓令第1号)

この告示は、令和4年4月1日から施行する。

別表第1(第45条関係)

調査書類の作成基準

第45条第1項の該当号数


調書名

1号

2号

3号

火災調査書

作成

作成(「原因判定理由」欄を除く。)

出火原因判定書

不要

作成

火災出場時における見分調書

不要

○ 焼損面積30m2以上の建物火災

○ 火災による死者の発生した火災

○ 火元の建物から他の建物へ類焼した火災

○ その他、出入口の施錠や出火箇所の判定、出火原因判定等に必要な火災

※ ただし、事後聞知は除く。

現場(鑑識)見分調書

不要

作成

質問調書

不要

作成(ただし、次の場合は現場質問調書によることができる。)

・焼損面積30m2未満の建物火災

・車両、船舶、航空機の火災

・焼損面積10,000m2以下の林野火災

・その他の火災

現場質問調書

作成

不要

出火建物・避難状況等調書

不要

○ 避難行動があった建物火災(2階以上から避難)

○ 消防用設備等にかかわる建物火災で、設備等を使用、作動したもの又は不使用、不作動のもの

危険物施設等調書

不要

○ 危険物製造所等(無許可貯蔵・取扱施設含む。)、少量危険物貯蔵取扱所、指定可燃物貯蔵取扱所及び高圧ガス貯蔵取扱所から出火した火災

○ これらの施設に延焼した火災

建物・収容物損害調査書

不要

○ 建物火災(建物及び収容物の損害額が千円未満を除く。)

建物以外損害調査書

不要

○ 建物以外の火災(損害額が千円未満の場合を除く。)

死傷者調査書

不要

○ 死傷者の発生した火災

注: 規程第45条第1項第1号に該当する火災であっても、特異火災等で必要な場合は同項第2号又は3号に係る調査書類を作成することができる。

また、規程第45条第1項第2号に該当する火災であっても、特異火災等で必要な場合は同項第3号に係る調査書類を作成することができる。

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秩父消防本部火災調査規程

令和2年12月11日 消防本部訓令第1号

(令和4年4月1日施行)

体系情報
第9編 防/第2章 火災予防
沿革情報
令和2年12月11日 消防本部訓令第1号
令和4年3月8日 消防本部訓令第1号