○秩父消防本部救急業務に関する規程
令和3年4月1日
消防本部訓令第8号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 救急業務の管理
第1節 管理責任(第3条・第4条)
第2節 編成等(第5条・第6条)
第3節 出動(第7条)
第4節 救急資器材の管理(第8条・第9条)
第3章 救急技能の管理
第1節 技能管理(第10条―第12条)
第2節 教育訓練(第13条―第16条)
第4章 救急活動等
第1節 任務(第17条・第18条)
第2節 救急活動の原則(第19条)
第3節 救急活動の実施(第20条―第36条)
第4節 安全管理(第37条―第40条)
第5章 普及業務等
第1節 普及業務(第41条)
第2節 民間による患者等搬送事業に対する指導等(第42条)
第3節 救急自動車同乗研修(第43条・第44条)
第6章 救急活動記録等(第45条―第50条)
第7章 補則(第51条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号)、救急救命士法(平成3年法律第36号。以下「救命士法」という。)及び秩父消防本部警防規程(令和3年秩父消防本部訓令第7号)の規定に基づき、救急業務及びこれに関連する業務の効率的な運用を図るために、必要な事項を定めるものとする。
(1) 救急業務 消防法第2条第9項に規定する救急業務のほか、次に掲げるものをいう。
ア 現に、医療機関その他の場所(以下「医療機関等」という。)にある傷病者で、当該医療機関等の医師が医療上の理由により医師の病状管理のもとに緊急に他の医療機関等に搬送(以下「転院搬送」という。)する必要がある者を救急隊によって搬送すること。
イ 傷病者を搬送することが、その生命に著しく危険を及ぼすおそれがあり、又は傷病者の救助に当たり、緊急に医師を必要とする場合に、救急隊によって医師を当該傷病者のある場所に搬送すること。
ウ 医療機関等から緊急に医療用資器材等を輸送、又は救急現場へ救急資器材等を輸送すること。
(2) 救急事故等 別記1に掲げるものをいう。
(3) 救急現場 救急業務の対象となる傷病者のある場所をいう。
(4) 救急活動 救急業務を行うための行動又は医療用資器材等を輸送する行動で救急隊の出動から帰署までの一連の行動をいう。
(5) 傷病者 負傷者及び疾病者をいう。
(6) 医療機関 救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)第1条及び医療法(昭和23年法律第205号)第1条の5に規定する病院及び診療所をいう。
(7) 救急隊員 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第44条第5項に規定する資格を有する者で救急隊員として任命された者をいう。
(8) 救急救命士 救命士法第2条第2項に規定する救急救命士の資格を有する者をいう。
(9) 応急処置等 救急隊員及び准救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和53年消防庁告示第2号)第5条から第7条までに規定する観察及び応急処置をいう。
(10) 救急救命処置 救命士法第2条第1項に規定する処置をいう。
(11) 救急自動車 救急業務実施基準(昭和39年自消甲教発第6号消防庁長官通知)第10条に規定する要件を満たす車両をいう。
(12) 救急資器材 救急業務実施基準別表第1及び別表第2に掲げるもののほか、救急業務を行うために必要な資器材をいう。
(13) 普及業務 傷病者を応急に救護するために必要な技能を普及するために行う業務をいう。
(14) 消防課長 消防第1課長及び消防第2課長をいう。
(15) 分署長 東分署長、北分署長、西分署長及び南分署長をいう。
第2章 救急業務の管理
第1節 管理責任
(管理責任)
第3条 消防長は、秩父消防本部管内の救急事情の実態を把握して、これに対応する救急業務の執行態勢の確立を図り、救急業務について万全を期するものとする。
2 総合調整幹及び次長は、消防長を補佐するとともに、消防長に事故がある場合は、その職務を代理するものとする。
3 消防署長(以下「署長」という。)は、所属職員を指揮監督して、執行態勢の確立を図るとともに、救急業務の運営の万全を期するものとする。
4 警防課長は、救急業務の施策の推進に万全を期すとともに、救急業務が効率的に遂行されるよう努めるものとする。
5 消防課長及び分署長は、所属職員を指揮監督し、救急業務の遂行に努めるものとする。
(関係機関等の連携)
第4条 消防長及び署長は、救急業務に関係ある機関及び団体と密接な連携を図り、救急業務の効率的な運用に努めるものとする。
第2節 編成等
(編成等)
第5条 救急隊は、消防法施行令第44条第1項の規定により、救急自動車1台及び救急隊員3人以上をもって編成する。
2 前項に規定する救急隊員は、小隊長(以下「隊長」という。)、隊員及び機関員で構成する。
(服装)
第6条 救急隊員は、救急業務に従事する場合は、秩父消防本部消防吏員服制規則(平成20年秩父広域市町村圏組合規則第4号)に規定する服装によるものとする。ただし、安全を確保するため必要があるときは、他の必要と認める服装を着用することができる。
第3節 出動
(出動)
第7条 救急隊の出動は、秩父消防本部警防要綱(令和3年秩父消防本部訓令第10号)第8条の規定によるものとする。
第4節 救急資器材の管理
(救急資器材の管理)
第8条 消防長は、次に掲げる事項に留意し、救急資器材の管理等に努めるものとする。
(1) 救急資器材の整備及び改善を図るものとする。
(2) 救急資器材の使用実態を把握し、効果的な活用方策を講ずるものとする。
(3) 救急資器材の運用上の区分を行うとともに、その需要状況を把握し、適切な配置に努めるものとする。
2 署長は、配置されている救急資器材の効果的な活用を図るとともに、適正な管理に努めるものとする。
3 署長は、次に掲げる基準により常に救急自動車及び救急資器材の点検整備を行うものとする。
(1) 交代時点検整備 毎日
(2) 使用後点検整備 毎使用後
(3) 定期点検整備 週1回
(消毒の実施)
第9条 消防長は、適正かつ効果的な消毒を第39条に規定する感染防止対策により実施するものとする。
(1) 定期消毒 月1回
(2) 使用後消毒 毎使用後
第3章 救急技能の管理
第1節 技能管理
(技能管理)
第10条 消防長は応急処置技術の改善に努め、救急隊員の技能向上を図るものとする。
2 署長は、救急隊員の技能の向上を図るために必要な指導を行い、技能管理を行うものとする。
(技能審査)
第11条 消防長が必要と認めた場合は、救急隊員の技能を審査するものとする。
(指導救命士)
第12条 消防長は、救急救命士等の研修及び指導を行うため、指導救命士運用要綱を別に定めるものとする。
第2節 教育訓練
(研修計画)
第13条 消防長は、救急隊員の知識及び技能の向上を図るため、研修計画を定めるものとする。
(訓練計画及び実施)
第14条 署長は、救急隊員の技能の向上を図るため、訓練計画を定め、訓練を実施するものとする。
(訓練の区分)
第15条 訓練は、次に掲げるものとする。
(1) 基本訓練 救急隊員としての救急活動に必要な基本的な技能を修得するために行うもの
(2) 総合訓練 救急隊として救急活動全般に対応できる活動能力の向上を図るために行うもの
(3) 普及技能訓練 第41条に定める普及業務に必要な指導能力を養うために行うもの
(訓練効果確認の実施)
第16条 消防長及び署長は、必要に応じて訓練効果の確認を行うことができる。
第4章 救急活動等
第1節 任務
(救急隊員の任務)
第17条 隊長は、救急活動全般の責任者であることを自覚し、隊員及び機関員を指揮し、救急活動を円滑に行うものとする。
2 隊員及び機関員は、積極的に隊長を補佐し、効果的に救急活動を行うものとする。
(救急隊員の心得)
第18条 救急隊員は、次に掲げる事項に留意し、救急業務に従事するものとする。
(1) 救急業務に関する法令を遵守すること。
(2) 救急業務の特殊性を自覚し、救急技術の向上に努めること。
(3) 常に身体及び着衣の清潔に努めること。
(4) 傷病者に対しては、親切丁寧を旨とし、羞恥又は不快の念を抱かせないように努めること。
第2節 救急活動の原則
(救急活動の原則)
第19条 救急活動は、救命を主眼とし、傷病者に必要な応急処置等を行い、速やかに医療機関等に搬送するものとする。
第3節 救急活動の実施
(観察の実施)
第20条 観察は、傷病者の周辺状況、救急事故の形態及び傷病者の状態を把握し、応急処置の実施、緊急度、重症度及び医療機関選定の判断に資するために行うものとする。
(口頭指導)
第21条 消防長は、口頭指導を適切かつ円滑に実施するため、口頭指導要綱を別に定めるものとする。
(応急処置の実施)
第22条 応急処置は、傷病者を医療機関等の医師に引き継ぐまでの間又は医師が救急現場に到着するまでの間に実施しなければ当該傷病者の生命に危険があり、又はその症状が悪化するおそれがあると認められる場合に行うものとする。
(救急救命処置の実施)
第23条 救急救命処置は、その症状が著しく悪化するおそれがあり、又はその生命が危険な状態にある傷病者に対して行うものであり、埼玉県北部地域メディカルコントロール協議会(消防法第35条の8に規定する協議会の地域協議会をいう。以下「北部MC」という。)が定めるプロトコールに基づき救急救命処置を行うものとする。
(説明と同意)
第24条 救急隊員が応急処置等を行う場合は、傷病者又はその関係者に対し、応急処置等の必要性及び内容を説明し、同意を得るよう努めるものとする。
(医師の指示)
第25条 救急救命士が救急救命処置を行うときは、医師の具体的又は包括的指示を受けなければならない。
(医師への指導及び助言要請)
第26条 隊長は、救急活動に当たって必要と認める場合は、医師に指導及び助言を積極的に求めるものとする。
(医師の要請)
第27条 隊長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、速やかに救急現場に医師を要請し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(1) 傷病者の状態からみて搬送することが生命に危険であると認められる場合
(2) 傷病者の状態からみて搬送可否の判断が困難な場合
(3) 傷病者の救助に当たり医師を必要とする場合
(医療機関等の選定)
第28条 傷病者の搬送に当たっては、原則として、傷病者の症状及び程度に適応した最も近い医療機関等を選定するものとする。ただし、傷病者又は家族等から特定の医療機関等へ搬送を依頼された場合又は通院加療中の医療機関等がある場合は、傷病者の症状及び救急業務上の支障の有無を判断し、可能な範囲において当該医療機関等に搬送するものとする。
(傷病者の搬送)
第29条 傷病者の搬送に当たっては、傷病者の状態からみて搬送可能と認められる場合に限り当該傷病者を搬送するものとし、傷病者が複数の場合は、症状が重いと認められる者を優先するものとする。ただし、傷病者又はその関係者が、搬送を拒否した場合は、搬送しないものとする。
(傷病者の搬送制限)
第30条 傷病者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該傷病者を搬送しないことができる。
(1) 北部MCが定める不搬送プロトコールの明らかに死亡している場合の判断基準に該当する場合
(2) 医師が死亡していると判断した場合
(3) 前2号に掲げるもののほか、法令により責任を負う他の公の機関が搬送することとなっている場合
(転院搬送)
第31条 転院搬送は、北部MCが定める救急車による転院搬送ガイドラインによるものとする。
(関係者の同乗)
第32条 隊長は、救急業務の実施に際し、傷病者の関係者又は警察官が同乗を求めた場合は、努めて応じるものとする。
2 隊長は、未成年者又は意識等に障害がある者で、正常な意思表示ができない傷病者を搬送する場合は、保護者等関係者の同乗を求めるものとする。
(要保護者の取扱い)
第33条 消防長は、生活保護法(昭和25年法律第144号)に規定する被保護者又は要保護者と認められる傷病者を搬送した場合は、同法第19条に規定する機関へ即報するものとする。
(家族等への連絡)
第34条 隊長は、必要があると認める場合は、傷病者の家族等に対し、当該傷病者の傷病の程度及び状況等を連絡するよう努めるものとする。
(現場保存)
第35条 隊長は、傷病の原因に犯罪の疑いがあると認めたときは、速やかにこの旨を管轄の警察署長に連絡するとともに、現場の保存及び証拠の保全に努めなければならない。
(指輪の離脱)
第36条 消防長は、指輪等の離脱を求められたときは、指輪離脱願書(様式第1号)により、署名を得た後に行うことができる。
第4節 安全管理
(安全管理)
第37条 安全管理は、秩父消防本部安全管理規程(平成25年5月1日秩父消防本部訓令第5号)によるものとする。
(安全管理主体)
第38条 救急活動における安全管理の主体は、救急隊員とする。
2 隊長は、救急活動の特性に応じた安全管理体制を早期に確立するとともに、隊員を指揮して傷病者及び協力者等の安全管理に努めるものとする。
3 隊員は、安全確保の基本が自己にあることを認識し、救急活動における安全監視、危険要因の排除及び行動規制等に配慮して危害防止に努めるものとする。
(感染防止対策)
第39条 消防長は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第17項に規定する病原体等からの感染を予防するため、救急業務等における感染防止対策要綱を別に定めるものとする。
(救急医療廃棄物)
第40条 消防長は、救急活動により排出される廃棄物(以下「救急医療廃棄物」という。)の処理について必要な管理体制を整備するものとする。
2 署長は、救急医療廃棄物の適正な管理に努めるものとする。
第5章 普及業務等
第1節 普及業務
(普及業務)
第41条 消防長は、普及業務を効果的に推進するため、応急手当の普及啓発活動の推進に関する実施要綱を別に定めるものとする。
第2節 民間による患者等搬送事業に対する指導等
(民間による患者等搬送事業に対する指導等)
第42条 消防長は、民間の患者等搬送事業者が患者等搬送用自動車を使用し、患者等の搬送業務を行う事業に対する指導及び認定について、患者等搬送事業に対する指導及び認定に関する要綱を別に定めるものとする。
第3節 救急自動車同乗研修
(同乗研修の申請及び承認)
第43条 消防長は、医療に従事する者等が救急業務に関する実務経験又は研修等のため同乗研修を願い出た場合は、書面を提出させるものとする。
(1) 医師、医大生、看護師、看護学生等
(2) 救急業務に従事する者又は従事する見込みのある者
(3) 前2号に掲げるもののほか、消防長が必要と認めた者
第6章 救急活動記録等
(1) 救急活動を行った場合 救急活動記録票(様式第2号)
3 消防課長及び分署長は、所属の消防隊等が救急支援活動を行った場合は、隊長に救急支援出動報告書(様式第4号)を作成させ、署長に報告するものとする。
(医師の署名等)
第46条 隊長は、傷病者を医療機関へ引き継ぐ場合は、傷病者の状態等を口頭及び救急搬送連絡票により医師に引き継ぐとともに、傷病者引受書(様式第5号)に医師の署名を受けるものとする。
(救急救命処置録)
第47条 救急救命士は、救急救命処置を行った場合は、救急救命処置録(様式第6号)を作成し、消防長に報告するものとする。
(特異な救急事故)
第48条 署長は、特異な救急事故等が発生した場合は、速やかに、消防長へ報告するものとする。
(救急日報)
第49条 署長は、毎日の出動状況等を救急日報(様式第7号)により、出動事案一覧表を添付して、翌日までに消防長へ報告しなければならない。
(救急月報)
第50条 署長は、その月の出動状況等を救急月報(様式第8号)により、次に掲げる資料を添付して、翌月3日までに消防長へ報告しなければならない。
(1) 救急隊別出動件数一覧表
(2) 覚知別出動件数一覧表
(3) 出動先別出動件数一覧表
(4) 救急隊別搬送人員一覧表
(5) 出動先別搬送人員一覧表
(6) 救急隊別不搬送件数一覧表
(7) 出動先別不搬送件数一覧表
第7章 補則
(補則)
第51条 この訓令の施行について必要な事項は、別に定める。
附則
この訓令は、令和3年4月1日から施行する。
別記1(第2条関係)
救急事故等の種別
番号 | 種別 | 摘要 |
1 | 火災 | 火災現場において直接火災に起因して生じた事故をいう。 |
2 | 自然災害事故 | 暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火、雪崩、地すべりその他異常な自然現象に起因する災害による事故をいう。 |
3 | 水難事故 | 水泳中(運動競技によるものを除く。)の溺者又は水中転落等による事故をいう。 |
4 | 交通事故 | すべての交通機関相互の衝突及び接触若しくは単一事故又は歩行者等が交通機関に接触したこと等による事故をいう。 |
5 | 労働災害事故 | 各種工場、事業所、作業所、工事現場等において就業中発生した事故をいう。 |
6 | 運動競技事故 | 運動競技の実施中に発生した事故で直接運動競技を実施している者、審判員及び関係者等の事故(ただし、観覧中の者が直接に運動競技用具等によって負傷したものは含み、競技場内の混乱によるものは含まない。)をいう。 |
7 | 一般負傷 | 他に分類されない不慮の事故をいう。 |
8 | 加害 | 故意に他人によって傷害等を加えられた事故をいう。 |
9 | 自損行為 | 故意に自分自身に傷害等を加えた事故をいう。 |
10 | 急病 | 疾病によるもので救急業務として行ったものをいう。 |
11 | 転院搬送 | 第2条第1号アによるものをいう。 |
12 | 医師搬送 | 第2条第1号イによるものをいう。 |
13 | 資器材等輸送 | 第2条第1号ウによるものをいう。 |
14 | その他 | 上記の種別に分類不能なもの並びに誤報及びいたずらをいう。 |